インデックス・ファンドとは、どんな商品か
これからの議論の前提として、ここで、インデックス・ファンドの基本的な商品特性をみてみましょう。
まず、「インデックス・ファンド」の基本的な定義を確認しましょう。インデックス・ファンドとは、「日経平均やトピックス(TOPIX)などの平均株価や指数に連動するように運用される投資信託」のことです。
この定義から、次のような商品特性が導き出されます。
すなわち、類似のインデックス・ファンドの運用成績は、理論上は「すべて同じ」であるということです。
平均株価や株価指数は、対象とする銘柄の選択(市場、地域、業種、その他)、計算方法などによっていくつか種類があります。しかし、当たり前のことですが、トピックスや日経225というのは一つしかありません。同じものに連動させるのですから、同様の方針をとる複数の「日経225ファンド」や「TOPIXファンド」などの類似商品どうしで、運用成績が著しく異なるということはないはずです。
例えば、A社の「日経平均ファンド」を買って大儲けした人がいる一方で、同じ時期にB社の「日経225オープン」を買った人は損をしたというのは、ちょっと考えにくいでしょう。C社の「トピックス・オープン」とD社の「インデックスTSPファンド」、E社の「インデックスファンドtspオープン」との間でも運用成績に大差はないはずです(ファンド名はいずれも仮称です)。
このように、同じインデックスに連動するファンドの成績に基本的な違いがないというのは、インデックス連動型のパッシブ・ファンドの重要な特性です。
もっとも、現実の運用では、類似のインデックス・ファンドどうしの間で「指数にうまく連動しているもの」と「連動がへたなもの」があるようです。けれども、理論上は、同じ株価指数に連動するインデックス・ファンドの運用成績は基本的に「すべて同じ」であるはずなのです。
インデックス・ファンドとは、「手数料競争」に陥りやすい商品である
別の見方をすれば、このことは、同じ株価指数に連動するインデックス・ファンドが、商品としての性質上、アクティブ・ファンドのように運用の上手い下手では差別化できないことを意味しています。
そこから、さらに重要な商品特性が導かれます。
すなわち、インデックス・ファンドの場合、必然的に「手数料の比率」が運用成績を左右する決定的に重要な要素となるのです。
従って、インデックス・ファンドを金融商品として「差別化」しようとするなら、ファンド選びに際して運用の上手下手を考慮する必要がないことから、運用や販売にかかる「手数料」で差別化する以外にないことになります。
言い換えれば、投信の運用会社や販売会社にとって、インデックス運用をしている投資信託は「手数料で競争する以外にない厄介な商品」ということになります。つまり、「価格競争に陥りやすい商品」だということです。アクティブ・ファンドのように運用の上手さや戦略の優秀さや手法の先端性(それが何であろうと、現実のリターンをもたらさなければ付加価値を付けるためのイメージにすぎないのですが)をアピールできないのがインデックス・ファンドであるからです。
要するに、投信業界にとっては、「インデックス・ファンド」イコール「儲からない商品」であると言っていいと考えられるのです。
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