特許に適さないアイディアについて

しかし、ゲームや料理のレシピなど、そもそも特許などの取得にそぐわない考案の権利はどのようにして守ればいいのでしょうか。

その答えの一つが「著作権」にある、ということが、冒頭に紹介した「理髪師のゲーム」の例から知られると思います。

このゲームは、アメリカの著作権局(Copyright Office 著作権庁とも訳す)に著作権登録されています。

実は、厳密に言えば、アメリカの著作権法といえども、ゲームを単にアイディアのレベルで保護するということはありません。けれども、上記の著作権登録がゲームの知的財産権の保護を目的として一定の役割を果たしたことは、ほぼ間違いないでしょう。

米国著作権局のホームページを見ると、ゲームや料理のレシピの著作権(とその登録)について、わざわざ特別なページを設けて解説してあります。それだけ一般の関心が高い分野であるということでしょうが、ゲーム関連の著作権の登録件数も、実際かなりの数にのぼるようです。

 

 

「商品」が著作権登録される

一般に「著作権」と言えば、音楽や文学、映画など文化的なものをイメージしがちですが、アメリカの著作権登録簿を閲覧すると、およそ文化芸術とは無縁の、意外な分野のものが目に付きます。実は、ゲームはその一つの例にすぎません。

他にも、おもちゃや縫いぐるみ、建築模型などが「彫刻」として登録されているかと思えば、商品の容器や箱のパッケージ・デザインも「ビジュアル・アート」として登録されていたりします。衣類、ベルト、宝飾品、ジュエリーなどの装身具、食器、鍋、プランターなどの日用品、雑貨、壁紙、照明器具、写真フレームなどのデザインもそうです。

ショーウィンドウのディスプレイや広告写真が「ビジュアル・アート」として登録されているのはまだ理解できる気もしますが、ボーリングのボールとピンのセットが「彫刻」であるというのは、どうにも不思議な気がします。しかし、アメリカ著作権局の登録簿を見ると、実際にそのように登録されているのです。

また、イラストや絵の要素のないオーソドックスな地図であっても、グラフィックとして登録の対象となります。

 

産業化する米国の著作権

さらに、「文芸作品」の分野では、小説や詩、ノンフィクションなどのいわゆる典型的な文学以外にも、電話帳、住所録、名簿のようなものも登録可能ですし、コンピュータ・プログラムがこのカテゴリーで登録されるのはよく知られていると思います。

こうしてみると、伝統的な著作物である文学、美術、音楽などの作品の登録件数はむしろ少数ではないかと思えるほどです。著作権の登録といっても、あたかも特許、商標の登録と同様にすでに産業化しているのです。実際、法人などの依頼を受けて創作された、いわゆる「職務著作物」の登録が少なくありません。著作権者、著作権請求人として法人名が記載されているのも目に付きます。

 

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『米国著作権登録申請マニュアル』目次 

 

 

 

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